鳥肌の役割は薄毛にも関係があった？

鳥肌といえば寒かったり、ゾっとした時に立つことはみなさんご存知だと思います。

でも、人間って体毛が少ないのに鳥肌立てても意味あるの？って思ったことはないでしょうか？

今回は鳥肌がなんのために存在しているのか、詳しく調べた論文がありましたのでご紹介します。

鳥肌の役割は薄毛にも関係があった？

ヒトの器官というのは、心臓の位置のように基本的には特定の場所にあって動いたり、増えたりはしないですよね？

しかし、身の回りの環境というのは刻一刻と変わります。

朝には寒くなったり、季節が変われば暑くなったり寒くなったり。

このように変化する身の回りの環境に、人の器官がどのように対応するんだろうというところを興味として始めたのが今回の研究です。

鳥肌は環境の変化に対応する器官

環境に適応するもののうち、とてもわかりやすいのが鳥肌で、これは人間だけじゃなく哺乳類にある程度保存されている生理現象です。

鳥肌はその名の通り、鳥の肌のようになるということで、鳥は寒くなったら体を温めるために鳥肌を立てて羽を膨らまします。

これは保温効果を高めるという効果があります。

一方で我々人は体毛が薄いので、保温効果は期待できません。

もう必要のない生理現象のように思えますが、他にも何か機能があるんじゃないのか？というところに着目して研究されました。

鳥肌が立つ仕組み

まずは鳥肌が立つ仕組みを簡単にご紹介します。

人間の皮膚を簡単な模式図で拡大すると、下図のように表皮（ピンク色）があってその中に毛が生えていて、毛根（青色）があります。

毛根付近には毛を立たせるための筋肉があり、この筋肉が表皮とつながっていて筋肉が収縮することで寝ている毛を立たせるということがわかっています。

このようにして寒さを感じると筋肉が収縮して毛が立つというわけです。

神経が幹細胞に影響を与える

人では筋肉の収縮には交感神経が関わっているというところまではわかっていたのですが、今回の研究で調べてわかったところは、この神経と毛根の中にある毛を作るための幹細胞がお互いに関与し合っているということです。

つまり神経側からのシグナルが毛の幹細胞に影響を与えて細胞分裂を増長させるということがわかったのです。

寒いと人が感じるとその神経が、「寒いから鳥肌を立たせろよ」というシグナルを出すと同時にその神経は毛の幹細胞にも「寒いですよ」ということを知らせるためにノルエピネフェリンという物質を放出します。

ノルエピネフェリンがその幹細胞に受け取られると幹細胞が分裂して毛が伸びるようになるということです。

要約すると「寒いですよ」という神経シグナルが伝わるとその場しのぎのガードとしていったん筋肉を収縮させて毛が立つ。

そして寒い環境が続いていくと、毛を生やさないといけない。そのため、「寒い」という神経の刺激によって毛のグロース（増毛）が起きるということです。

鳥肌はAGAの治療のヒントになるか

毛の話をするとどうしてもAGAという男性型脱毛症の話になりますが、AGAの男性の頭皮を見ると実はこの毛を立たせるための筋肉がなくなっているということがよく観察されています。

筋肉がなくなるということは、筋肉の周りに走っている交感神経ももちろんなくなってしまうということ。

そこに神経がないということは、グロースの刺激が出ないということになり分裂しないと考えられます。

これまでAGAは男性ホルモンが原因と言われていて、それ自体は確かですが、今回の研究結果を踏まえると、神経から幹細胞への伝達物質を与えてやれば、もしかしたら毛の増殖を誘発できるかもしれません。

今回の研究によって新しいAGA治療のための薬ができるかもしれませんね。

まとめ

いかがでしたでしょうか？

今回は鳥肌の役割についての新しい発見をご紹介しました。

今回の研究は、寒いという環境の変化に体がどのように対応しているのかというのがメインのテーマです。

我々は基本的に毛が薄い生き物なので鳥肌は必要ないはずです（保温効果がほぼない）。

しかし鳥肌というのは実は細胞を増殖して、その環境に対応するような刺激を与えるためにも存在しているんですね。

鳥肌というのは寒いから毛が立つという役割だけじゃないよっていうことを覚えておいてください！

以上でーす。