料理を美味しくする秘訣【第6の味覚】料理の科学

第6の味覚が存在することを皆さんはご存知でしょうか?

今回は料理を美味しくする秘訣と題して、最近明らかになった第6の味覚と味覚の役割についてご紹介します。

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料理を美味しくする秘訣【第6の味覚】

今回は味覚についてお話ししようと思います。

味覚というと塩味、酸味、甘味、旨味、苦味の5つをご存知だと思いますが、第6個の味覚が見つかったという話がありましたのでご紹介。

味覚とは何か?

そもそも舌で感じる味っていうのがどのように脳に到達するのかを考えることは料理をよりおいしく作る上では非常に役に立ちます。

料理を進化させるためにも味覚について研究することは非常に重要なのです。

我々の舌には味蕾(みらい)という物質をキャッチする場所があり、100種類くらいの細胞があることが知られています。

6個目の味覚を紹介する前に、味覚が存在する意義を理解していただくため、まずは元々ある5個の味覚がどのような役割を担っているのかをご説明します。

我々人間も元は野生動物でした。野生動物として生きている際には、いろんなものを食べる必要があるわけですが、食べ物を口に入れて栄養を得る上でこれは食べてもいいぞ、食べたらダメだぞという判断を味覚がしてくれるのです。

これをそれぞれの味覚がどのように判断しているのか紐解いてみましょう。

味覚その1:塩味

まず塩味です。塩を舐めるとしょっぱいなぁ、おいしいなと感じると思います。

これはナトリウムの受容体が舌の上にあって、ナトリウムを感じると刺激が脳の美味しいと感じる部分に入るようになっているからです。

なぜナトリウムが美味しいと感じる必要があるのでしょうか?

体の機能を維持するためには塩分バランスが大事です。

汗をかいたら塩分を摂りましょうと子供の頃に教えられたと思いますが、これはナトリウムが神経をちゃんと活動させたり、体をうまく動かすために必須だからです。

つまり、塩味のものはナトリウムが含まれていて、これを検知したら積極的に食べる必要があるためポジティブな意味で塩味は存在しているということです。

味覚その2:甘味

続いてはみんな大好き甘味です。

こちらも存在する理由は単純で、甘味は砂糖などによって活性化される味覚でグルコースを感じ取るために利用されます。

グルコースは血中に入るとすぐに細胞が栄養として使えるので、生命活動を維持するには重要なエネルギー源となります。

つまり、これを検知したらすぐに摂取しないといけないため、甘味を感じると美味しいと感じ、たくさん食べたくなるんですね。

言うまでもなく、食に困らない現代ではたくさん食べすぎて太る人が出てきてしまうわけですが・・・。

味覚その3:旨味

3つ目は味の素でお馴染みの旨味です。

旨み成分ではグルタミン酸が有名ですが、なぜグルタミン酸を検知する必要があるのかというと、グルタミン酸が含まれるということはアミノ酸やタンパク質があるという判断材料になるからです。

アミノ酸やタンパク質は我々の体を作るのに重要な栄養素であり、これを検知して積極的に食べるために旨味を美味しいと感じるようになっています。

ここまで美味しいと感じる味覚を紹介しましたが、残り2つの味覚は防御反応に使われる味覚です。

味覚その4:酸味

酸味というのは乳酸など発酵して出てくる酸っぱい物質を検知するために存在します。

酸味があるということは腐っていて食べちゃダメだよということを警告するためにあると考えられています。

さらに酸味にはもう一つの側面もあって、ビタミン類は味が酸っぱいため、ビタミンを摂取するという役割もあるんじゃないかと考えられています。

つまり酸味は、摂取と忌避両面の役割があると言うことです。

味覚その5:苦味

防御の役割2つ目の苦味について説明しましょう。

自然界にある毒物というのは疎水性の物質が多いことが知られています。

そのような疎水分子を検知する受容体が苦いと感じる脳の部分につながっているようで、苦い物質を感じると忌避するようになるのです。

自然の中で毒とされる分子が多いですからね。

甘いものやしょっぱいものが美味しいというのは当然ですが、酸味や苦味というのは本能的に人間が嫌うものなので、子供は特にそれに敏感なわけです。

ただ一方で人はちゃんと学習する生き物なので大人になってくると苦いものも食べられるようになります。

慣れや教育によってコーヒーもおいしく感じちゃうわけです。

おっくん

なんなら魚の内臓も美味しく感じちゃう

たっきー

ビールも美味しく感じちゃうし、なんならタバコの煙も美味しく感じちゃう

おっくん

それは中毒w

人類は味覚を上手に扱える

あえて本来おいしくないはずのものを上手なバランスで取り入れることで、より脳が快感として感じる深みとかを出しているのです。

この甘味、旨み、塩味に加えて苦味や酸味をどのようなバランスで加えていくのかというのは料理の醍醐味の一つであり、一番センスが出るところなんじゃないかなと思っています。

第6の味覚とは?

ここからいよいよ第6の味覚を紹介しましょう。

2018年に第6の味覚というのが日本の研究で発見されました。

おっくん

俺が結構好きなCMがあるんよ。トクホのお茶のCMで「おいしいものは脂肪と糖でできている」っていうキャッチフレーズ。あのCMすごくよくできてるよね

おいしいものは本当に脂肪と糖でできているんです。

味覚として甘味は認識されているけど脂肪というのはこれまで味覚として認識されてなかったものです。

しかし実際に脂肪を検知する受容体を持つ細胞が舌に存在することが明らかになりました。

脂肪の味というのをちゃんと人は検知しているのです。

みなさんおわかりの通り、第6の味覚は脂の味

たっきー

脂質って生きる上で必要な栄養素やもんな

脂肪といっても正確には脂の中に含まれている一部の脂肪酸を検知するGPI120というタンパク質が存在することがわかり、そのタンパク質が脂肪酸を感じると脂味をちゃんと感じているということが証明されました。

どうしてこれが味覚として存在しているのかというと糖とは違って貯蓄可能なエネルギーとして脂肪を取り込むことは生きていく上で重要だからです。

たっきー

冬何も食べられない時期とかに備えるためやな

脂肪を食べることには貯蓄可能なエネルギーの摂取の他にも脂肪酸を食べるとインスリンの分泌といったものも変わってくるそうで、糖と脂肪の代謝制御にも関わってくるということがわかりました。

さらに脂分を食べるとセロトニンなどの幸せホルモンが分泌されて幸せを感じるそうです。

以前から脂の味は味覚テストなどで存在するだろうということはわかってはいましたが、どの神経がそれを感知しているのかというのは特定されていなかったため味覚とは言えませんでした。

今回ようやく証明できたんですね〜。

まとめ:脂味はコク?

いかがでしたでしょうか。

これからは味覚は6種類です!

甘味、塩味、旨味、酸味、苦味に加えて名前が正しいかはわかりませんが脂味。

この6種類の味覚をうまいバランスで組み合わせることで、よりおいしい料理が作れるようになると我々は考えています。

たっきー

確かにマーボー豆腐も油をいっぱい入れたときおいしいよね。

おっくん

たっきー麻婆豆腐好きやねw

たっきー

俺の中ではあれはコクとかそういう認識だったのよね。

おっくん

もしかしたらコクって呼ばれているやつは意外と脂味のことなのかもしれんね

たっきー

バターを入れるとコクが増すとか言うしね

味覚って本当によくできていますよね。

味覚は生命活動に重要な甘い物(糖)、うまい物(タンパク質)、しょっぱい物(ナトリウム)、脂っこい物(脂質)を美味しいと感じて積極的に摂取しつつ、酸っぱいもの(発酵物)、苦い物(毒)を避けるようにできている。

そして人類は、この6種類の味覚を巧みに利用して美味しい料理を作っている。

サイエンスラジオは料理を科学する。

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