植物も触れられたことを感じている
植物といえば、動かずにじっとしている・・・。
みなさんそんなイメージをお持ちでしょう。
しかし、実は植物も触れられると触れられたことを感知していることが日本の研究で明らかとなりましたので、ご紹介します。
観葉植物の飼育が好きな方必見ですよ
植物も触れられたことを感じている
植物が触れられたことを感じているとはどういうことでしょう?
植物に触れて反応するものとして有名なものといえば、オジギソウやハエトリソウなどの食虫植物が思い浮かぶと思います。
私もこの研究の見出しを見た際にはこいつらのことかと思いました。
しかし、他の植物ではどうでしょう?
その辺に生えている植物に触れてもなんの反応も返ってきませんが、実は目に見えない反応を起こしているというのが今回紹介する研究です。
これまでにも植物に触覚が存在すると考えられていた
進化論で有名なチャールズ・ダーウィンも彼の著書の中で、植物は接触を敏感に感じると書いています。
確かに、朝顔などは棒に巻き付くように茎を伸ばしますし、接触を感じているように思われます。
しかし、そのメカニズムについては明らかになっていませんでした。
というか、恐らくこのタンパク質が関係しているだろうということはわかっていましたが、はっきりとは証明されていませんでした。
そのタンパク質がMCA1とMCA2です。
MCA1とMCA2が接触を感知する
MCA1やMCA2とはどの様なタンパク質でしょうか?
これは、細胞膜に存在する膜貫通型のCa+透過性チャネルで、生物を勉強された方ならご存知かと思います。
Ca+透過性チャネルとは、刺激を受けた際に開く穴のようなもので、この穴からCa+(カルシウムイオン)が細胞内に流入し、このCa+イオンによって細胞が反応するというものです。
東京学芸大学の飯田秀利教授らは2007年の研究で、シロイヌナズナのMCA1あるいはMCA2遺伝子を欠失している変異体を調べるなどして接触の感知を担っている可能性を示していました。
植物が接触を感知するメカニズムを証明
MCA1とMCA2が接触を感じるのに重要な役割を果たしていることは示されましたが、膜に機械的刺激(接触)があった際に直接MCA1とMCA2が反応するのかどうかははっきりわかっていませんでした。
そこで今回紹介している研究では、精製したMCA1とMCA2を人工の脂質膜に挿入するという実験を試みました。
この研究は、脂質人工膜を用いた電気生理学的研究の第一人者である芝浦工業大学の吉村建二郎教授との共同研究になります。
実験の結果、膜に生じる機械的刺激にMCA1とMCA2が反応し、膜内にCa+が流入することが明らかになりました。
植物も神経を持っている?
我々人間をはじめとした動物は、何かに接触した際に神経細胞(ニューロン)を通して脳で接触を知覚します。
この神経細胞による知覚にも実はCa+が関わっています。
接触があった際には、神経細胞の膜上に存在するCa+透過性チャネルが開き、神経が発火(神経の反応)が起きます。
これが脳の神経細胞にまで伝わることで、何かに触れたと認識するというわけです。
今回の植物におけるCa+透過性チャネルに関する発見は、植物にも神経が存在することを明らかにしたと言っても過言ではないのかなと感じました。
もちろん植物には脳はないので、知覚することはできんわけやけどね。
まとめ
今回は、植物が接触に反応するメカニズムに関してご紹介しました。
私自身、植物を飼うのが好きでいろんな植物を持っていますが、適度に風に当てることで健康に成長させることができるとの情報をよく耳にします。
風に当たるというのも、何か物に接触する時と同様に細胞膜が機械的刺激を受けるため、MCA1とMCA2が反応します。
今回の研究成果を見て、
「こういうメカニズムがあって、風に当てた方がいいんだなぁ」
なんて思ったりしました。
科学の進歩によって、今までなんでだろう?と思っていたことのメカニズムが解明されていくのは非常に面白いですね!
植物をすくすく育てたい方は、いっぱい触れてあげるのもいいかもしれませんよ!
植物に水やってきますー。