動物病院も間違える犬の年齢を人間に換算すると【理学博士が解説】
今回は、犬の年齢についてお話をしたいと思います。
動物病院の先生が書いたブログなどでも犬年齢を人間の年齢に換算すると、
犬の年齢(人間換算) = 犬の実年齢 × 7
などと言われることがよくあります。
しかし、最近の研究でこれは正しくないことがわかってきましたのでご紹介します。
動物病院も間違える人間に換算した犬の年齢とは?
たっきーの愛犬「幸之助」の年齢は?
おっくん「幸之助は今何歳?」
たっきー「今、2歳5ヶ月。」
おっくん「ということは、人でいうと?」
たっきー「14歳と、ちょっとくらい。(×7したくらいの年齢)」
おっくん「まぁ、大体中学生から、高校生くらいかなー。っていう認識じゃないですか?
びっくりするよ。話を聞いたら。」
たっきー「気になるー。」
幸之助の実の年齢はいくつなのでしょう!?
年齢を比較するにはDNAのメチル化を見る
そもそも、犬の年齢を人間に換算すると×7歳というのは、人が70〜80年生きるとして、
犬の寿命が10〜12年くらいだから、割り算をして
”犬の1年は人間の7年にあたる。”
という風に言われているわけです。
少し難しい話をしますが、
我々生物は発達や加齢とともに遺伝子(DNA)が徐々にメチル化されていきます。
(わからなかったら、ここは流してください。)
そのメチル化パターンというのは、年齢ごとに決まっているという事が分かっています。
では、同じ哺乳類の間で、そのメチル化パターンや傾向が違うのでしょうか?
これを調べたのが今回の論文です。
つまり、
”人が0歳から80歳になるまでの過程でのメチル化のパターンと
他の動物の一生のライフスパンでのメチル化のパターンを比較してみたい!”
というのが今回の論文のテーマです。
先行研究から、DNAのメチル化の指標というのは加齢や発達度合いをある程度表すことができることはすでにわかっていました。
そこで歴史的にヒトと長く付き合い生活環境が似ている犬(当研究では、ラブラドール)を使って最も身近な犬と人のDNAのメチル化のパターンを比べてみるという実験をしました。
まずこれまでの通説通りに単純にヒトの1年が犬の7年であったと仮定した場合、
犬の2歳はヒトの14歳に相当するため、そのメチル化パターンには以下の図のような比例関係がみられるはずです。
(図)従来の人間の年齢と犬の年齢の比較
すなわち、メチレーションのパターンを比べた時に、メチル化の度合いが、こうやって直線形状に描かれないとおかしいわけです。
それでは今度は今回の実験の結果を見てみましょう。
実際に、人と犬で特徴的なメチル化パターンの
最も似ているところをプロットしていくとこんな感じになります。
(図)今回の実験における人間と犬のメチレーションパターンの相関図
なんと、直線状にはなりませんでした。
グラフから実は、犬の2歳はヒトの40歳過ぎに相当することがわかったわけです。。
たっきー「えぇ!!サチ40歳なん!!!!!!
おっさんやん!!!!!!!!!!」
上記の図を見ると、縦軸が人の年齢で、横軸が犬の年齢なのですが、
青い点線が子供期・青年期・大人期・老人期の発達パターンを表しています。
それぞれの時期に分けた時、実は犬の子供期というのはすごく短いんです。
それは行動などからもある程度わかっていて、子供期や青年期といった期間は犬では短くて、それに伴ってメチル化パターンの山が一気に立ち上がっていくということになります。
たっきー「確かに、動物って結構すぐに自分でご飯食べたりとかして出すもんね。」
おっくん「そう。だから、人間と比較して、犬の子供期はすごい短くてその後、青年期から大人期にかけては若干ばらつきがあるんだけど、最後の老齢の時期になると、ヒトも犬も似たようなメチレーションパターンに揃っていくと。」
メチル化を指標に使った犬の年齢の計算式は?
それでは、このグラフをもとに犬の年齢と人間の年齢を正しく比較してみると・・・
ヒトに換算した年齢 = 16logE(犬の実年齢) + 31
これが、あなたのワンちゃんの年齢をヒトに換算した時の正しい年齢です。
Googleで”関数電卓” で検索してみてください。
簡単に計算できますよ〜。
〜電卓での計算方法〜
ヒトに換算した時の年齢 = 16In(犬の実年齢) + 31
おっくん「ほんとにビックリだよね。1歳とかでも31歳だから、おっさんよ(笑)」
たっきー「俺と同い年ぐらいかも・・・。いや、俺より上か。」
おっくん「そうだよ。幸乃助さんだよ。(笑)」
たっきー「こんなに可愛いのに・・・。こんなに可愛いのに・・・。」
もうちょっと真面目な話をしておくと、
実際にヒトと犬におけるメチル化のパターンは似ていて、加齢によって、メチル化は進行していきます。
しかし、メチル化の進行は時間依存的なものではなく、どちらかというと発達パターン(子供期や青年期など)に依存して起こっていくというのが、正しい解釈になります。
つまり、
”その個体のメチレーションパターンを解析すれば、より正確な年齢がわかる”
ということです。
おっくん「みなさん、ショッキングな内容かもしれないけど、これが科学的な事実なんです。」
たっきー「1歳でも31歳かぁー。これからの対応変わっていくで、ほんま。」
おっくん「最新の科学はみなさんの常識を変えるっていうのがわかってもらえたら、いいかなと思います。」
犬を飼っている方は、自分のワンちゃんの本当の年齢を再確認してみてはいかがでしょうか?
ということで今回の話は以上になりまーす。
ではまた!