オーガズムだけじゃないクリトリスの隠された機能とは? その2
その1でクリトリスの刺激が妊娠の役に立つかもしれないという話をしましたが、今回はそのメカニズムについて深掘りしていこうと思います。
オーガズムだけじゃないクリトリスの隠された機能とは?
妊娠について
まず初めに、受精・妊娠についてご説明しておきたいと思います。
みなさんに質問です。
膣内に放出された精子は卵に向かって泳いでいくことはみなさんご存知だと思います。
それでは、どこからどこまで泳いでいるでしょう?
1. 膣〜子宮頸管〜子宮〜卵管〜卵子
2. 子宮〜卵管〜卵子
3. 卵管〜卵子
4. 卵子付近
たっきー「ペニスが挿入されるのが膣までだから1番じゃない?」
おっくん「精子は強くないといけないって言われるしね」
正解は・・・
4番なんです!
実は精子はほとんど泳いでいないんです。
基本的に卵子付近までは、膣や子宮による蠕動運動や液の流れによって運ばれています。
膣〜卵子までの精子の動き
膣に放出された精子は、自分自身で卵子まで辿り着くことはできません。
子宮頸管や子宮の蠕動運動によって卵管まで運ばれます。
そして、卵管まで運ばれた精子は、液の流れを利用して卵管内を通り、卵子に辿り着くことがわかっています。
これは旭川医科大学 医学部 生物学教室の日野先生が行ったマウスと墨汁を使った興味深い実験で明らかとなりました。
動画もあるので、ぜひ探してみてください。
それでは、この精子を運ぶ過程とオーガズムの間にどの様な関係があるのでしょうか?
オーガズムと妊娠の関係性
精子が膣や子宮の蠕動運動によって、卵子まで運ばれると書きましたが、この蠕動運動はオーガニズムによってより活発になるということがわかってきました。
つまり、女性が気持ちのいいSEXをするほど妊娠をする可能性が高まるかもしれないということです。
たっきー「先生。アフターセックスが大事ということでしょうか」
おっくん「特にSEXをする前のクリトリスの刺激が大事だと言われています。もちろん後も大事かもしれなけどね」
子宮は精子を殺す
ここまで、女性の身体は精子を卵子まで運ぶために苦労しているというような話をしてきましたが、実は子宮は精子に対してウェルカムな姿勢を取っているというわけでもありません。
子宮は精子を殺してしまうんです!
精子は、精液の中のわずか1%ほどしか含まれておらず、残りの99%は精しょうからできています。
そしてこの精しょうの中に含まれるSVS2という物質がなければ、精子は子宮に殺されてしまいます。
受精に重要なのは精子じゃなく女性の身体
これまでの話からもわかるように、いくら精子が頑張ったとしても、卵子まで運ばれなければ受精は達成できないということです。
したがって、女性の身体の反応が重要であるということです。
妊活中のご夫婦は色々な苦労があるかと思いますが、妊娠を望む場合には、ぜひ初心に立ち返って女性を満足させるSEXをすることが重要なのではないかとサイエンスラジオでは結論づけておきます!
参考文献
Hino T et al., 2019. Active peristaltic movements and fluid production of the mouse oviduct: Their roles in fluid and sperm transport and fertilization, Biology of Reproduction