【ジュラシックパーク3】スピノサウルスとティラノサウルスの戦いがあり得ない理由【理学博士が解説】

今回はみんな大好き恐竜に関する最新の研究内容をご紹介したいと思います!

 おっくん「今回ご紹介する恐竜はスピノサウルス。ジュラシックパーク3でティラノサウルスと戦う超巨大な恐竜です。」

 たっきー「強いの?」

 おっくん「ティラノサウルスを倒してしまったのよ。アマプラでも見れますので、ぜひご覧ください。」

最新の科学によって、このワクワクした対決に終止符が打たれることとなりました・・・。

スピノサウルスとティラノサウルスの戦いがあり得ない?

ジュラシックパーク公開時の2001年におけるスピノサウルスのプロフィール

スピノサウルス:トゲ(棘突起)のある恐竜

分類:獣脚類

全長:15m(T-REXよりでかい)

1930年くらいに化石が見つかって、最近全体像が見えてきた恐竜になります。

棘突起が特徴ですが、恐竜だけが持っているのではなく、実は牛やカメレオンなどもこの棘突起を持っています。

スピノサウルスの弱体化第一弾

 おっくん「2014年に第一回目の弱体化が入ります。その要因となる頭と後ろ足の骨が発掘されます。」

 たっきー「それで何がわかったの?」

 おっくん「骨の解析の結果、後ろ足が思っていたよりも細くて2足歩行ではないことがわかったんだよね。」

あしの大きさの他にも、骨の密度が高すぎることや、頭の形がワニに似ている(鼻の位置が上を向いている)、歯の形がティラノサウルスなどと違いワニの形に似ているといったことから、水の中で暮らしていた可能性が示唆されました。

残念ながらこの時点で4足歩行であるということになってしまいました。

ただ、水の中で生活する獣脚類は珍しく、これはこれですごい発見となったわけです。

 たっきー「水の中で生活する恐竜おらんかったっけ?」

 おっくん「プレシオサウルスね。あれは恐竜じゃなくて爬虫類なんよ。結構遅くに出てきた生き物なんだって。」

スピノサウルスの弱体化第二弾

弱体化第一弾の6年後の2020年、科学雑誌「Nature」にスピノサウルスに関する新たな論文が発表されました。

スピノサウルスの脊椎骨には、50cmを超える長いとげがついていることがわかります。

このことから、しっぽが完全にイモリのようなものであることが推測されました。

 おっくん「完全に水中を泳いで生活している姿になってしまいます。」

 たっきー「完全に泳いでるやん」

ワニほどではないですが、この尻尾を実際に水中で左右にふってやると、恐竜の中ではかなり泳ぎが得意であるということがわかりました。

ワニやイモリにかなり近い形で泳げたのではないかと推測されます。

今回の発見によって、2014年から仄めかされていた水中で生活していたという仮説がかなり信憑性を増してきました。

残念ながら、ティラノサウルスとは戦えない!!

スピノサウルスのCGイメージ

足の骨のつき方からヒレがついていたことがわかりました。

足の骨の密度が高かったのも水に浮かないような進化をしていたと考えられます。

ほぼワニです。

食性も魚などの水棲生物を食べていたと考えられています。

現代のワニの一種で魚などを食べるガビアルというワニに非常に似た構造になっています。

今回の研究により、ティラノサウルスを倒してしまう怖いスピノサウルスは存在しなかったということが明らかになってしまいました。

 おっくん「当時は4足歩行の獣脚類がいたなんて誰も思っていなかったのよ。過去の生物は見つかっている化石から予測して組み立てる。」

 たっきー「今現在わかっている範囲では、こんな形をしていますって感じね。」

 おっくん「そうそう。だから俺、古生物学嫌いなんだよね。少年の心を弄ぶからね。」

最近はティラノサウルスには毛が生えていたとか、カラフルだったとかいろんなことが言われていますが、我々は化石が発掘されるたびに一喜一憂しなければいけないのでしょうか・・・。